海辺の町の下町商店街・かつぶし町の交番に赴任した、おまわりさんの小槇悠介(こまき・ゆうすけ)。この交番にはずっと昔から、人の言葉を話す謎の猫・おもちさんが住み着いている。「相手の声を聞こうとする気持ちさえあれば、案外なんとかなるものですにゃ」町の人々から愛されるおもちさんは、触ると願いが叶うとか、おやつをあげるといいことがあるとか、いろいろな言い伝えがあるらしい。でもそれが本当かどうかは、誰も知らない。そんな彼らの周りには、優しい町の人々だけでなく、さまざまなあやかしの姿もあって──。百鬼夜行に巻き込まれたり、河童に恩返しされたり、突然の神隠しもあり!?人と人ならざるモノのあわいで起こる、ふしぎで優しい物語。
ことのは文庫