大学卒業を控えた夜、国文学科の「わたし」とシオとタカは、シオの下宿で家飲みをしていた。日付が変わっても眠る気になれない三人は、鴨川沿いを歩いて河原町まで行くことを思いつく。夜明け前の午前四時台、夜の終わりと大学時代の終わり、そのどちらをも名残惜しみながら、思い出話と卒業までにできることの話だけに花を咲かせ、三人は進み続ける。『エモい古語辞典/著:堀越英美』に掲載された古語をテーマに小説を募集した『エモい古語辞典』小説コンテストの大賞受賞作。「可惜夜」──明けてしまうのが惜しいくらい素晴らしい夜のこと──大学卒業の近づく二月下旬。京都の夜を歩む彼女たちの夜明けまであと少し──▽受賞作品はpixivからもお読みいただけます『モラトリアムの夜明け前』
朝日出版社