――映画を観よう。弟・涼夜が選ぶ怖くて残酷な映画。しかし合図のように囁かれるその言葉に、兄・健太はこの後始まる淫らで屈辱的な行為への期待に身体が疼く。なぜ、どうして……リビングで弟に突き上げられながら、混濁した頭で健太は懊悩する。平凡な大学生の自分と、なんでもできる高校生の涼夜、仲のいい兄弟だったのに……。素直で愛情深い健太は弟を突き放せないまま、両親不在の家は快楽に堕ちた兄弟二人の閉ざされた楽園と化していき……。
シャレード文庫