天涯孤独の駆け出し画家・伊万里友馬は、自分を拾い育てた師に日々身体を開かされ、心を蝕まれながらも、健気に絵を描き続けていた。そんなある日、友馬は初めて開いた個展で、優美さと風格を纏った若い画商・神月葵と出会う。絵に惹かれたと言われ、素直に嬉しく思う友馬だったが、同時に、自分の内にある穢れや陰鬱さを見透かすような彼の言動と表情に、内心で激しく動揺していた。しかし葵を忘れられずにいた友馬は、数週間後、彼の営む画廊を訪ねる。そこで目にした一枚の絵に強く感銘を受ける友馬。その絵は、葵が肩入れし邸に囲って援助している画家・都地の作品だった。ギリギリの均衡を保っていた友馬の心は、それをきっかけに激しく乱されていき――。
リンクスロマンス