常世と現世のあわいにある、日本橋の紙問屋《雪魚堂(せつなどう)》。そこを訪れる客は、白銀の紙雪が舞う不思議な百鬼夜行に誘われるという。転職活動中の猪瀬成海(いのせなるみ)は、ある日雪魚堂に迷い込み、黒ずくめの少年・カナと、胡散臭さ満点の店主名代・魚ノ丞(なのすけ)に出会う。次の勤め先が見つかるまで、その店の手伝いをすることになった成海は、様々な心の痛みを背負った客人たちとの交流の中で、彼女自身も忘れていた、ある「真実」へと辿り着くのだが──。
ことのは文庫