9年前の7月初め。「霊が視える」という体質により級友から誤解され、引きこもりとなった宮脇珠杏(みやわきすず)は、横須賀の学校で3か月遅れの高校生活を新たに始めようとしていた。登校初日、幼馴染でお調子者の多賀谷節(たがやせつ)とともに、遅刻しかけた彼女の前に現れたのは、節の親友で不愛想な保城臨(ほうしろりん)という男子生徒。珠杏の事情を前から知っている節と、知っても何も態度の変わらない臨の存在に、彼女の心は次第に癒されていく。しかし、その幸せな時間は、長くは続かなかった──。
ことのは文庫