俺自身をどうしたら好きになってくれるか、最近はいつも考えている師弟の心を照らしたのは、何にも冒されない不屈の愛。自分の中のピアノの神様に恋をしたようなものなのだ──音楽家の卵が集う名門校に入学した奏人のレッスン担当は、幼い頃から神と崇めるピアニスト・レオンハルトだった。学園に招致され来日した彼は、自分のピアノに自信を持てない奏人への愛と賛辞を惜しまない。その溺愛ぶりは、奏人のファーター──父と周囲に言わしめるほど。能う限り応えようとするが、レオンハルトの埒外に甘い言葉と眼差しは、日に日に奏人の鼓動を高め……。
シャレード文庫