最低条件は日に一度のハグ。それ以外は呼び名も、髪や目の色、仕草に至るまで雇用契約を結んだ「ご主人さま」の指示に従う家政婦兼「ペット」の羽柴香。今回のご主人さま・有田は気難しい雰囲気の美丈夫で、自分をペットだと言い放つ香が気に食わないようだ。家政婦としての仕事をこなしてもハグももらえず冷たくされ雇用の継続は厳しいのではと諦観していたが、とある出来事をきっかけに、香は有田から少しずつ「自分でなにかを選ぶこと」を教えられていく。それはご主人さまに言われるがままだった香にとっては難しいことで、けれども確実に変化していく心がむずがゆく、どこか嬉しくて──。
ルチル文庫