フレンチシェフの水崎には、十代の頃、母が殺人鬼に食われたという凄惨な過去があり、そのせいで人との接触が苦手だ。ある日、水崎は新規の客に自分の血が入ったソースを出すという最悪の失敗を犯す。だがその客、フードライターの桐谷は料理を大絶賛した。優雅だが強引に距離を詰めてくる桐谷を、苦手にも好ましくも感じる水崎だったが、彼が例のソースの「隠し味」──水崎の血の味に魅せられていることを知り……。
ショコラ文庫