自他ともに認めるアルファ中のアルファのマッシモは、運命の相手=伴侶に出会う確率が高いイタリアの名門カステリーニ家の長男。だが15歳になっても伴侶は見つからないまま、マッシモは英国の寄宿学校、カールトン校に入学。同室の祖父江芳明は同じく奨学生で、しかも伴侶のいるアルファだった。自分のオメガをひたすら愛し伴侶の関係を至福だと信じて疑わない祖父江。恋をしないキューピッドでいいと嘯いていたマッシモは初めて羨ましく思った。思えばこの時が二人の一番の黄金の日々だったのかもしれない。このあと訪れる祖父江の運命に、否応なくマッシモは巻き込まれていき──。
ルチル文庫