生来の病のため死を身近に感じてきた琳には、大学生として暮らす現在が奇跡と思えるほどだった。ある夜、琳はひと気のない神社で傷ついた青年と出会う。目の前で犬のような姿に変じた彼に、幼い頃から夢想してきたこの世ならざるものへの憧れを重ねて惹かれずにいられない。控えめで愛らしい彼にウメと名付け、親しくなりたいと願う琳だが……?
ルチル文庫