出世欲の強い父親からできの悪い息子として扱われながら、王の伴侶・セルーンの側仕えをしている草原の民アルトゥは、冷たい美貌と愛想のない性格もあいまって近寄りがたい雰囲気を纏っている。ある日、父が謀反の疑いで捕らわれアルトゥも微妙な立場に──。しかし、そんな彼を安全な場所へと連れ出してくれたのは、「王の密偵」ムラトだった。土地と家族に縛られたアルトゥと違い、自由なムラト。接点がないはずだった二人に、特別な絆が生まれはじめ……。
ルチル文庫